障害者同士の結婚問題 その時がきたらどう対応していくのか

就労継続支援B型

 

「広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)」と「軽度知的障害」の長女は不登校からの引きこもりを改善するために、グループホームに入居して就労継続支援B型事業所で訓練を受けています。

事業所の生活支援員や利用者とも親しくなり、作業にも慣れてきて、作業を引っ張っていくリーダーシップも取れるようになりました。

新しい生活にも慣れて気持ちに余裕が出てくると、また新しい問題も発生してきます。

 

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娘の突然の告白「彼氏ができたよ!!」

 

月に1,2回ほど連休を利用して娘は自宅に帰ってきます。

その時に事業所での様子や、グループホームの出来事を話してくれるのですが、ある日こんな告白をされました。

「おかあさん、反対しないで聞いてくれる?私、彼氏ができたよ」

なんと!!彼氏ですか?!

と言うか、なんで反対すると思ったのだろう?・・・

 

お付き合いしているR君は、同じ系列の障害者支援施設に入居している人です。

「お付き合い」と言っても、施設利用者もグループホーム利用者も共に恋愛は禁止されていて、こっそりとお付き合いしてるということ。

二人っきりで会える場所も機会もないので、お互いに『好きだ』という気持ちを認め合って、作業の休憩時間などに話をするだけの清い交際らしいのです。

娘はスマホを持っていて、グループホームでは自室でだけ利用できますが、施設の入居者はスマホ禁止で、お互いに連絡も自由に取れなくて作業の合間にだけしか会えないのだそうです。

規則では「恋愛は禁止」となっていますが、障害があっても若い男女が集れば自然に恋愛感情が生まれてきます。

「こっそり」と言ってますが、娘も含めて知的障害を持つ人の多くは自分の気持ちが上手く隠せなくて、つい言動や態度に現れてしまうことが多くなります。

なので、こっそり付き合っているつもりでもほとんど職員にはバレていて、職員の方でもよっぽど問題行動を起こさない限り「暗黙の了解」になっています。

 

娘は中学生になったばかりの頃、一瞬だけ彼氏ができたことがあります。

でも、男子との接し方がよくわからなかったり、友達に聞かれたら普通は恥ずかしくて隠すようなことも平気で口にしたりしたため、寄ってたかってからかわれることになり、それがきっかけでしばらく学校に行けなくなったことがありました。

なんとか立ち直って学校に行けるようにはなったものの、それから男の子を毛嫌いするようになりました。

 

いつも「男性は二次元が一番いい」とか「リア充爆発しろ」

とか言ってましたが、出合うきっかけがあれば本当は「男性とお付き合いしたい」という気持ちがあるのだと思います。

それはいたって自然なことなので、反対する気持ちなど全くなかったのですが・・・

 

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障害者同士の結婚は難しいのか?

 

障害者同士の結婚は難しいとよく言われますが、娘もそれを自覚していて、私が普段反対するようなことを言わなくても、障害者同士で付き合うことに反対されるのでは?と考えたのだと思います。

確かに「結婚」となるとやはり手放しにすぐに賛成とは言えなくなるのかもです。

統計でも出ているように障害者の結婚はなかなか難しいようです。

出典:障害者総合研究所より

娘は実際に起きたことや、その時の自分の感情を言葉に置き換えるのが苦手です。

身の回りの状況を説明しようとしても上手く伝えらられないことがよくありますが、なんとか上手く伝えようとしてあせってもっと伝えられなくなります。

そんな時は「ゆっくりでいいから」とか「他の言い方があるんじゃない?」とか状況を整理させて言葉を引っ張ってあげます。

それでも出てこないと、こちらがこれまでの話から内容を予測して、ヒントを与えて一緒考えながらに言いたいことを把握できたりします。

時にはわざと何が言いたいのかわからないふりをして、言葉が出てくるまで待っていたりもします。

 

これがお互いに障害者だと相手の言いたいことをどこまで理解できるのでしょうか?

言葉のすれ違いが気持ちのすれ違いに結びつくこともあるのではと思われます。

しかしこれは私の思い違いで、障害者同士の方がお互いを理解し合えるかもしれません。

実は私自身も「睡眠障害」と「持続性気分障害」で精神障害手帳の2級を所持しています。

精神障害手帳と療育手帳を持っている家族と言うだけで敬遠されることもあります。

 

お互いがお互いをフォローすることの難しさ

 

娘とR君はしばらくはほっこりとしたお付き合いが続いていたようでしたが、だんだんと娘の気持ちが離れていったようでした。

R君は幼い頃に両親を事故で一度に亡くして、ずっと施設の中だけで育ったのだそうです。

施設の中でも愛情を受けて育つこともあるのでしょうが、人手不足で手が足りずに自分のことだけを見て欲しくても、目を向けてもらえないことも多くなるかと思います。

愛情が必要な時に愛情をかけてもらえなかったからなのか、R君は情緒不安定になることが多いようでした。

 

障害者支援施設の居住空間は、一部屋が四人の共同部屋になっています。

多感な年ごろでしかもそれぞれに障害を抱えていて、気持ちのコントロールが難しい男性が四人で共同生活を送るとなると、頻繁に衝突が起こるようです。

R君は気持ちが抑えきれなくなると、激しく暴れだすので職員も手を焼いているようでした。

その事実を娘が私に寂しそうに話してくれて、だからR君に対する気持ちが変わったとかは言いませんでしたが、その後は会話から次第にR君の話題が消えて行きました。

 

娘は発達障害の特徴が顕著に表れるようになった小学校3年生から6年生くらいの頃に、障害を力づくで矯正しようとした父親から暴力を受けていました。

そのトラウマで暴力的行為や、大声を出す人に対して警戒がとても強いです。

 

R君のそういった事実を知ったらやはり怖くなるのではと思われます。

R君の気持ちを理解してくれる人がいて、しっかりフォローできたらR君の情緒も安定してくるのかもしれません。

しかし、娘は自分の気持ちをコントロールするので精一杯です。

時々情緒不安定になり、気持ちが抑えきれなくなることがあります。

R君の気持ちまでフォローする必要が出てきたら、お互いに壊れてしまいそうなので、お付き合いを続けるのが難しくなったのではないかと思います。

 

もし、娘が結婚するときがきたら・・・

 

娘のR君とのお付き合いは終わってしまいましたが、障害者同士の結婚についていろいろ考えさせられる出来事でした。

 

一番最初に出てくるのは金銭的な問題です。

障害者が安定した収入を得るのはなかなか難しくなります。

二人で企業などでの一般就労で働いたり、就労継続支援A型事業所で働いたりして安定した収入をもらって、それに二人分の障害基礎年金をプラスしてやっと生活できます。

それも二人とも落ち着いている状態の話で、出産や育児などの負担でどちらかが不安定になると、とたんに崩れていく可能性があります。

 

もし、娘が障害者同士で結婚した場合、フォローが必要ならいつでも手伝ってあげたりはしたいのですが、自分の娘だからといってどこまで夫婦の問題に立ち入っていいのかもわからないです。

それに、私がいつまでも元気でいられるのかの保証が絶対にあるとは言えないです。

同年代の人が若くして亡くなる話も耳にしたりします。

 

だからと言って、娘がこのままずっと私と二人で暮らしていくのが本当に幸せなのか?と考えさせられます。

私と暮らしていることで安心してしまって、自分で成長していくことがが妨げられるかもしれません。

ずっと変化のない暮らしで、そのまま歳だけ取ってしまうことは楽でありますが、生きがいを感じて生きていけるのでしょうか?

 

結婚する、しない。

子供を持つ、持たない。

 

この問題は障害者にだけ限った問題でもないので、どの選択が幸せなのかは一概には言えません。

独身のまま親元で生活して、それでちゃんと生きがいや幸せを見つけている人が大勢いるからです。

 

娘は今は男性と付き合ったり、結婚したりは全く考えていないようです。

でも、突然気持ちが大きく変わる出会いがあって、どんな変化が起こるかはわからないです。

その時はその時で、自分たちが精いっぱい考えた結果で動けばいいことです。

 

気持ちの準備だけはしていきたいと思っています。

 

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