実家から「つわぶき」がたくさん送ってきました。
つわぶきが送ってくるととつくづく「春がきたのだなあ」と実感できます。
今日は、たくさんあるつわぶきの皮をむいて下処理していきますが、これがなかなか手間のかかる仕事になりますので、音楽でも流しながら椅子に座ってゆっくりと、今年初のつわぶきをどう料理しようか思い巡らせながらむいていきます。
つわぶきはとても身近な植物です
光沢があってつやつやと緑色に光る葉を持つつわぶきは、島のいたるところに一年中生えていて、とても身近な植物で、毎年春になると当たり前のように食卓に並んでいました。
シュッとした長い茎に、厚みのある丸い大きな濃い緑色の葉が開いています。
食べるのは主にこの茎の部分ですが、春先に生えてくる白い産毛に包まれたやわらかい茎を食べることができます。
取っても取っても次々と生えてくるので、3月ごろから5月の初めごろまでと食べごろの時期も長く続きます。
直径10cmほどになる葉っぱをお皿に見立てて、子供の頃はよくままごとに使って遊んだりしました。
漏斗状にくるっと丸めて、木の枝で止めた葉っぱは入れ物にもなるので、キイチゴの時期になるとつわぶきの葉で作った入れ物に、赤や黄色のキイチゴを摘んで持って帰っていました。
つわぶきの葉は昔から、腫れ物、打撲、おでき、切り傷、火傷などに効くと言われていて、火であぶって柔らかくなった葉を患部に当てるといいと言われています。
遊んでる最中に切り傷などができたら、葉っぱをちぎって傷口に当てていましたが、火であぶってはいないので効果があるのかどうなのかは分かりませんでしたが、子供の頃はそれで治ったような気がしていました。
一年中きれいな緑色葉を茂らすし、秋には光沢のある鮮やかな黄色い花を咲かせるので、観賞用に用いられることも多いです。
とは言っても、島中どこにでも生ええているつわぶきを眺めるために、わざわざ庭に植える人はいなかったので、島の外できれいに整えられた日本庭園の中に、つわぶきが生えているのは不思議な光景でした。
子供の頃は食べるために庭に植えているのだと思っていて、きれいな庭に植えてまで食べたいのかな?と疑問に思ったりしていました。
秋に群生して咲いているつわぶきの花です。
つわぶきを料理していきます
さっそく、たくさんあるつわぶきを下ごしらえしてから料理していきたいと思います。
まずは皮をむく
つわぶきの皮は、はしっこをポキッと折ってからくっついている皮をすーっとむいていきます。
むきなれているお年寄りは、茎を弓なりに曲げながら、すごいスピードですいすいとたくさんむいていきます。
6~7cmくらいに折りながらむいていき、アクが出るのでむいたものはすぐに水につけていきます。
水がアクで茶色く汚れてきたら、きれいな水に入れ替えていきます。
素手でむいているとアクで手が汚れるので、気になる時は薄い手袋を着けてむいた方がいいのですが、手袋を着けるとむきにくいので素手でむいたら手が真っ黒になりました。
手術用手袋を使うと、手にフィットしていくぶんかむきやすくなりますが、2、3日もするとすっかり落ちてきれいになるので、気にせずに素手でむきました。(笑)
むく前に熱湯に漬けると、手も汚れずにするするとむけるようです。
こんなにたくさんの皮がでました。
湯がいていく
きれいな緑色を残すためと、アクを抜くために塩を少量入れて湯がくのですが、一回目のゆで汁を捨ててから二回目はきれいな水で再び塩を入れて湯がきます。
シャキッと歯ごたえが残るくらいの硬さまで湯がきますが、ゆで具合は一口、口に入れて噛んでみてみて硬さを調整しました。
むく時点で、あらかじめ太めのものと細いものを分けておいてから、別々に湯がいていくとむらなく火が通ります。
湯がいたあともアクを抜くために、一時間くらい水に浸けておきました。
きれいな色を出すために重曹を入れてで湯がいてもいいようです。
まずはそのまま食べる
湯がきたてのつわぶきの風味を味わうために、そのままカツオ節を乗せてしょうゆをかけただけで食べてみます。
少しアクが残るくらいに硬めに湯がいてあるので、歯ごたえもよくて噛むとつわぶきの風味が口の中に広がります。
むいて湯がいたら、いつも一番最初に食べる方法です。
つわぶきチャンプル
つわぶきでチャンプルを作りました。
まず、油をひいて豚肉を炒めます。
水切りした豆腐とつわぶきを入れてさらに炒めて、塩コショウ、しょうゆをさっとかけます。
最後に卵でとじて出来上がりです。
なるべくつわぶきの味を消さないようにシンプルに作りましたので、お好みで顆粒だしや鶏ガラスープの素などを入れてもいいと思います。
つわぶきは油で炒めたり、豚肉と組み合わせたりすると独特の癖が無くなり、あっさりと食べられます。
定番の煮物
つわぶきを使った煮物は定番の食べ方です。
家にあった材料、鶏肉、大根、ニンジン、ゴボウと一緒に煮込みました。
鶏肉、大根、ニンジン、ゴボウを炒めてからだし汁を入れて、酒、みりん、砂糖、しょうゆの順に煮込んでいきます。
つわぶきは煮すぎると柔らかくなりすぎて形が崩れてしまうので、最後の方に入れて火を止めて蓋をして30分くらい置いて味を染み込ませます。
つわぶきは冷凍して保存ができるので、たくさん取れる時期に冷凍しておいて、煮物などに入れて一年中食べることもできますが、食感や風味が落ちてしまうので、取れる時期にめいっぱい食べて、次の年の旬がやって来るのを楽しみにしています。
天ぷらにしてみる
湯がいたつわぶきの茎の太い部分を天ぷらにしました。
実家からは葉は邪魔になるので取って送ってきましたが、数本葉がついたままのものがあったので、そのまま湯がかずに衣をつけて揚げました。
大きくなった葉は硬くて苦くてとても食べられませんが、産毛の生えている若い葉は天ぷらにするとおいしく食べられます。
ついでにそらまめの芯芽も一緒に揚げました。
1袋80円で売っていたのですが、たくさんは採れない部分なので、普通は農家の方がおうちで楽しむ食べ方です。
普段は市場には出まわっていませんが、この日は二袋だけ並んでいましたので、農家の方のおすそ分けだったのでしょうか。
盛りだくさんの天ぷらができました。
煮物や炒めもので食べることが多いつわぶきの茎は、天ぷらでもおいしく食べられました。
葉っぱの方は厚みがあるので「モチっ」とした食感でとても風味がよくて、湯がいてあく抜きをしなくても全然アクが感じられないです。
そらまめの芯芽は、不思議とちゃんとそらまめの味がするんです!
また手に入る機会があればぜひ食べたいです。
お味噌汁にもつわぶきを入れて、つわぶきづくしの晩ご飯になりました。