発達障害者ときょうだい児 自分が頑張っていれば比べなくてもいい

生活のことなど

アルバイトをしながら専門学校に通っていた次女に就職の内定が出て、4月からは公務員として働くことになりました。

長いこと苦労しながら勉強をしていた次女に家族も親戚も「おめでとう」と言って大喜びなのですが、広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)と軽度知的障害を持つ長女だけが浮かない顔をしています。

妹が先に就職できたことに嫉妬しているようです。

 

妹の就職が決まったけど、一人だけ喜べないでいる

 

次女が

「おかあさん、受かったよ!就職決まったよ!!」

と言って帰宅してきました。

就職試験を受けていた公務員の仕事で内定をもらったのです。

なかなか難関の就職先だったのもありますが、なによりも学費を稼ぐために学校に行きながら夜遅くまで、休日も目いっぱいバイトをする生活がこれでやっと終わるのです。

 

うれしくて二人でこれまで大変だったことや、二年間浪人をした後、結局専門学校を選んだことや、高校進学を決めるときに周囲から嫌味を言われたときのことなどを思い出しながら

「いろいろあったけど、結果オーライだし頑張った甲斐があったね」

と話しながら喜び合いました。

 

長女は妹の内定には無関心で無表情でした。

しかし、妹の内定が決まった話を聞いた後は、イライラしだして小さなことにもひどく八つ当たりしてくるのです。

しまいには自室で泣き出すので理由を聞いてみると、お正月に離婚したおとうさんやおばあちゃんに合うことになっているのですが、会いたくないといって泣いているのでした。

就職できた妹はたくさん誉められて、自分はまだ就職できていないことを非難されるから行きたくないと言うのです。

 

以前におとうさんに

「就職できなかったら家に帰って来ておとうさんの身の回りの世話をすればいいよ」

と言われたのが忘れられないでいるようです。

おとうさんは「就職できなくても落ち込むことはない、おとうさんが面倒みるから代わりに家事でもして一緒に生活しよう」

というくらいの意味で言ったのだろうと思うのですが、やっぱり就労目指して頑張っている人にかけて欲しくない言葉だよね・・・

別に次女がが就職したからと言って、長女がまだ就職していないことを責めているつもりではないと思うのですが。

「会いたくなければ無理に合わなくてもいいんだよ。そんな約束はしていないし、もう二十歳過ぎているんだか会う、会わないは自分で決めていいよ」

と話したら

「しばらく考えてみる」

となったのでした。

 

性格が正反対の姉妹

 

妹がバイトが終わると夜遅い時間に彼氏と一緒に帰宅してくる物音にイライラしたことがありました。

長女が妹の彼氏と一緒にご飯を食べて顔見知りになったことで一旦は解決したのですが、妹に対する不平不満はそれだけではなかったのです。

 

長女は几帳面で自分の持ち物はしっかり管理して、置く場所も決まった場所に置いてないと気持ち悪かったりします。

それに比べて次女は、よく言えばおおらかだけどかなり大雑把な性格です。

 

姉の部屋に入って服や持ち物を借りても、使った後は返すのをすっかり忘れて自分の部屋に置きっぱなしになっていたりします。

次女には日ごろから口を酸っぱくして「学校とバイトの両立で忙しいのは分かるけどせめて自分の身の回りの管理はちゃんとして欲しい」

と言っていますが、次女も分かってはいるけど毎日のことで精一杯の様子なんです。

 

何度も「脱いだ服はちゃんと表に返して洗濯に出してね」

とお願いしても、見事に全部裏返して脱いでいるので、それだったらと思いそのまま裏返しで洗濯して干して、裏返しのままたたんで部屋に置いていました。

ある日、次女の脱いだ靴下がめずらしく表に脱がれて洗濯に出してあったので「めずらしいね」

と言ったら

「それは裏返しでたたんであったのを表に返して履くのが面倒で、裏返しのまま履いて脱いだら表になっていた」

と言う返事が返ってきたつわものなのです。

 

長女は時間があれば洗濯物を干したりたたんだりとよく手伝ってくれるので、几帳面な長女はそういった次女の行動がいちいち気に障るようで、見つけては文句を言ってくるのです。

そのたびに「確かにちゃんとしてもらわないと困るけど、学校とバイトで忙しいのだから今は仕方ないよ」

と言ってなだめていました。

 

長女の几帳面ぶりは家の中だけではおさまらず、通勤の電車でマナーを守らない人、職場で無神経な人が目につくたびに家に帰って来てから延々と文句を言い続けます。

テレビで報道される犯罪者や批判されている政治家や芸能人も非難の対象で、テレビに向かって文句を言い続けています。

 

そのたびに相槌を打ったり、自分なりの意見を言ったりして聞いているのですが、抱えなくてもいい不満まで抱えている様子を見かねて

「文句を言ってもどうにもできないことにまで文句を言い続けたら、疲れるのは自分だよ。スルーしたりあまり気にしないようにするのも大事なことだよ」

と話したりするのですが「文句を言うのをやめなさい」

と言ったらそういった文句を口にしたらいけないと思ってしまい、不満を感じても吐き出すのをやめてしまって、自分の中に閉じ込めて消化不良になってしまうのもよくないと感じるので、家の中でだけならいくらでも愚痴をこぼしても仕方ないと自分では受け流していたつもりでした。

 

妹の就職が決まったらさらに増えていく愚痴

 

妹の就職が決まってから、そういった愚痴はさらにエスカレートしてきました。

朝起きて顔を合わせたら「おはよう」の前に妹に対する文句が始まり、仕事から帰ってくるとまず電車の中でのことの愚痴が始まります。

 

長女がいつも使っているバスの時間が急に変更になり、突然の変化に戸惑う自閉症スペクトラムの特徴で、この通勤のいきなりの変更にも戸惑っていました。

仕事に行く前も、帰宅してからも延々とバスの変更について文句を言ってきます。

戸惑うのは分かるけど、変更されたものにいくら愚痴を言っても変わることは絶対にないのです。

 

はじめは「困ったね、いつものルーティンが変わるから辛いね」

と同意していたのですが、あまりにも毎日同じことを悔やんで文句を言っているので

「いくら文句を言ってもバスの時間は変わらないんだよ、そうやって文句を言っている時間も、イライラしていることもただ疲れるだけで無駄じゃない?今は変わった時間にどう合わせていくか考えるのが大事じゃないの?」

と言っても、なかなか気持ちが収まらないようで

「そんなに言うのならバス会社に時間を元に戻してくださいと訴えようか?それでバスの時間が変わると思う?」

と言ったらさすがに黙り込みました。

 

ある日「今日の晩ご飯はなににしようか?」と考えながら、冷蔵庫の食材を吟味してあれこれと献立を考えていたら、長女が横に張り付いてきて妹に対する文句が始まりました。

「うんうん」と聞きながら「今、献立考えているけどぜんぜん集中できないなあ」と思っていたら、急に下半身の力が抜けてしまい「ガクッ」と膝をついてしゃがみ込んでしまいました。

さすがに毎日毎日、不平不満を聞かされていると疲弊してしまうようです。

 

そんな状態だと長女自身にもあまりいい影響は及ばないようでした。

ここのところずっと体調がいい状態が続いていて、職場でも「よく頑張っているね」とせっかく誉められていたのですが、最近になって体調を崩す日が増えるようになり、仕事を休んでしまう日が見られるようになってきました。

さすがにこのままでは共倒れになってしまう・・・

と危機さえ感じるようになりました。

 

妹が内緒でこっそり友達を連れてくる

 

そんなときのことでした。

就職も決まって卒業も近くなり、授業がない日が多くなってきて、ずっと遊べなかった次女が堰を切ったように友達と遊びに行くようになりました。

 

ある日のこと、長女が寝静まってからの真夜中に次女がそおっとやって来て、長女に聞こえないように声を押し殺して

「明日、友達と電車に乗って飲み会に行くのだけど、一緒に行く友達が終電で帰って来てから家に帰る足がないから家に泊めてあげていい?」

と聞いてきました。

「おかああさんはぜんぜん構わないけど、おねえちゃんはどうかな?あなたたちが夜中に帰って来た物音で眠れなかったと言って、仕事に差し支えたりでもしたら大変だよ」

その日は平日のど真ん中で、長女はいつも通りに朝早く起きて仕事にいかないといけないのですが、少しの物音にも敏感な長女が夜中に友達を連れてきて眠れなかったと言い出しかねないのです。

「絶対に騒いだりしないし、気づかれないように寝静まった頃に静かに帰って来て、自分の部屋で静かに寝るだけだから」

と言うので

「おねえちゃんには内緒にするから、その代わり絶対に物音を立てずに静かに帰って来てね、帰って来てからも部屋で静かにするんだよ」

と約束したのでした。

 

次女が飲み会に出かけて行って、友達を連れて帰った夜のことです。

「カチャッ」

と静かに玄関のドアが開く音がしただけで、後は泥棒が入ってきたように何一つ物音を立てずに静かに自分の部屋に入っていって、その後もずっと静かに過ごしていたようで安心していました。

しかし、その朝のこと

「知らない靴が玄関にあって邪魔だよ!家を出るのに邪魔で出られない!!昨夜もうるさくて眠れなかったんだから!!」

と長女の叫び声が響き渡りました。

 

どうやらバレたようです。

そのまま仕事に行くのをあきらめた長女が自室でずっと泣きわめく羽目になってしましました。

正直言って、玄関の靴もぜんぜん邪魔ではないし、昨夜も眠っている人が起きてしまうような物音は全くしていないので、完全な言いがかりだと思います。

いったい何がそんなに癇に障るのでしょうか?

 

言いたいことを言い合った結果

 

その後も妹の日ごろの行動について文句を言い続ける長女にだんだん疲れてきました。

ずっと劣等感を抱いて生きてきているのだから、そこを認めてあげて言い分を聞いてあげないといけないのは十分に分かってはいます。

しかし、全部を受け止めるとなると自分がいっぱいいっぱいになってしまう・・・

 

絶対に口にしてはいけないと思って、ずっと押さえていた言葉が次々と口から出て行ってしまいました。

「あなたの毎日のように続く不平不満に心底疲れた」と・・・

 

そうしたら思いがけない言葉が返ってきました。

 

「おかあさんも妹も夜中にこっそりと話し合って、私に隠して友達を連れてきたのが我慢できない」

 

聞こえていたんですね。

すっかり寝てしまっていると思った真夜中に、ささやくような小さな声で話し合ったにもかかわらず。

日ごろから小さな音に敏感だと知っているので、気を付けて声を押し殺していたはずなのに。

それは、内緒でそんな画策をしていたと知ったらショックで傷つきますよね。

でも「夜中に一緒に飲み会に行った友達を連れてきていい?」

と聞いたら絶対に反対して文句を言うと分かっていたから、あえて内緒のままバレないようにしようね、と話し合ったのでした。

 

そこは事情を話して本当にすまなかったと謝りました。

でもやっぱり騙されたと思った気持ちは簡単には収まらないですよね。

 

妹とは全然違う人間だから比べる必要はない

 

そこで改めて日ごろからずっと思っていることを話しました。

あなたと妹は姉妹ではあるけど、産まれた時から全く違う人間で、全く違う道を歩いているからどっちが頑張っているとか、どっちが偉いとかはないんだよ。

妹は妹なりに、自分の抱えた問題を自分で解決しながら歩いている。

自分の持っているものを生かして、自分なりに頑張った結果、やりたい仕事を見つけて頑張ろうとしている。

あなたも、たとえ産まれつき障害があっても、自分の出来ることを見つけて就職するために訓練を頑張っているじゃない?

障害者が就職することがどんなに難しいことか分かる人はちゃんと分かっているし、そこを目指して何年も頑張っていることは評価できることだよ。

障害を持って産まれたことはことは悪いことでもないし、決して恥ずかしいことではない。今、自分が頑張っていることが大事で、それを一番よく知っているのは自分自身じゃないの?
自分で分かっていればそれで十分じゃない?

 

どこまで分かってくれたのでしょうか?

でも、お互いにずっと心にためていたことを吐き出しあっていくらかスッキリしたような気がします。

これで全部が簡単に解決できることはないと思います。

本当にこれで良かったのかどうかもわからないです。

でも、思っていることを心に閉じ込めてもやもやして過ごすよりは、どんな形でも相手に伝えることは大切だと感じています。

 

 

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