広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)と軽度知的障害の長女はアニメオタクです。
夕食のときなど、一緒に過ごす時間にはお互いに観たいアニメを録画しておいて一緒に観て楽しんでいます。
小さい頃を除き、初めて一緒に観るようになったアニメは「けいおん!」です。
普段あまりアニメを観ない次女も「けいおん!」はお気に入りで、珍しく二人で仲良くリビングで観ていました。
家事をしながら何気に目に入って来て、初めはおめめまん丸のかわいらしい女子高生がバンドを組んで活動しているアニメなのかな?
というくらいの印象でした。
でも、オープニングソングの演奏を聴いてビックリ!!
娘曰く
「凝ってるでしょ、これ京アニだから」
それから一緒に観るようになったのでした。
「けいおん!」はこんなアニメ
第1期が2009年4月から、第2期が2010年4月から放送されていた桜が丘高校の軽音楽部を舞台にしたアニメーションです。
部員がいなくて廃部寸前の軽音楽部を復活させたのが、ドラム担当のりっちゃんこと田井中 律(たいなか りつ)。
初めは文芸部に入りたかった幼馴染の秋山 澪(あきやま みお ベース、ボーカル担当)を軽音部に引きずり込みました。
そこに、合唱部に入りたかったムギちゃんこと琴吹 紬(ことぶき つむぎ キーボード担当)がりっちゃんと澪ちゃんの夫婦漫才のようなやり取りを気に入って入部します。
あと一人入部しないと軽音部はつぶれてしまう。
そんな時に軽音部=軽い音楽の部活と勘違いした平沢 唯(ひらさわ ゆい リードギター、メインボーカル担当)が入部してきます。
一年後には1つ下のあずにゃんこと中野 梓(なかの あずさ ギター担当)も加わり5人で活動していきます。
決して、音楽部の熱い青春ドラマではありません。
軽音部の活動の一つ(ほとんど)が、家が資産家のムギちゃんが持ってきた1つ最低5万円はする高級ティーセットと、これまたムギちゃん持参の頂きものの高級品のお菓子でのティータイムです。
このおいしいお菓子に顧問のさわちゃん先生こと山中 さわ子(やまなか さわこ)や、真面目に練習しよう!と訴えるあずにゃんもついついつられてしまいます。
そんな軽音部の日常をほのぼのと描くアニメなのですが・・・・・
オープニング曲でぶっ飛ぶ!
長女と次女がテレビで「けいおん!」を観ている時に流れてきたオープニング曲を聞いて「えっ?!」となり「この曲なに???」とテレビに駆け寄ったのでした。
乗りの良いギターがかき鳴らされて始まり、かわいい声で歌われる曲の歌詞は女子高生の日常なのに、バックのギターのリフはクールでカッコいい!!
勢いのあるドラムのリズムと共にテンポのいいベースに、走るキーボードの音。
本格的なロックサウンド、しかも超カッコいい!!
唯ちゃんがボーカルの「Cagayake! GIRLS」でした。
こちらから曲の視聴ができます。
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実は私、中学1年の頃からずっと大のロックファンで、特に洋楽が大好きなのです。
アニソンでこんなにカッコいいロックが流れてくるとは・・・しかも演奏しているキャラクターはおめめクリクリのかわいらしい女子高生。
「なんで?なんで?」
となってると、娘が
「京アニ(京都アニメーション)の作品は、作画がていねいで凝ってるだけではなくて、アニメの背景や関係しているものにもすごくこだわって作られているんだよ」
と言うこと。
だから、音楽をテーマにしているアニメだから手抜きせずに徹底して細部までこだわって作られているからなのだそうです。
「へえ、そうなんだ。最近のアニメは奥が深いんだねぇ」
と言いながらちょっと興味が出てきて一緒に観るようになったのでした。
凝っているのはオープニングソングだけではない
唯ちゃんのギターはギブソン・レスポール!!
楽器を全然演奏できない唯ちゃんが、ひょんなことから軽音部のギター担当になり、自分のギターを購入することになりました。
唯ちゃんの予算は5万円。
初心者が初めてギターを買うには妥当な金額かなと思います。
しかし、楽器屋さんで唯ちゃんが「かわいい!」と気に入ってしまったのはギブソンのレスポール。
レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジや、ガンズ・アンド・ローゼスのアクセル・ローズが愛用しているあのレスポールです。
ぼわっとした甘くてやわらかくて太く響く音。
私自身、ギターは弾けないのですがレスポールは通好みのギターである印象があります。
それに、ネックが太い上に重量もあるし高額なので初心者でしかも女の子はあまり選ばないかなあ・・・と。
そこで資産家のお嬢様のムギちゃんの登場。
なんとその楽器店はムギちゃんのお父さんの経営する会社の系列店で、ムギちゃんは25万円のレスポールを5万円に値切ってしまいました。
一目ぼれしたギターを手に入れた唯ちゃんは、レスポールに「ギー太」と名前を付けて(かわいい!)服を着せたり、添い寝したりしてかわいがるのでした。
あずにゃんのギターはフェンダー・ムスタング!?
軽音部の4人が入部してから1年後、新一年生のあずにゃんが入部してきました。
ジャズバンドをやっている両親の影響で小学生のときからギターを弾いているので、技術も知識も豊富です。
そんなあずにゃんの愛用しているギターはフェンダー・ムスタング。
!!!ムスタング?!!!
フェンダーのギターと言ったらストラトキャスターが有名で、ストラトでなくてもテレキャスターも人気ですが、あずにゃんはムスタングなのです。
ムスタングと言ったらニルバーナのカート・コパーンが愛用していることで一躍有名になりましたが、カートも「使いづらい」と言って改造して使っていたようです。
扱いにくいことから「じゃじゃ馬」とも呼ばれていますが、乗りこなすといい音が出るようで、ムスタング好きはどう調節して馴染ませるかが課題のようです。
あずにゃんのキャラクターソングに「じゃじゃ馬Way To Go」という曲があるので、小柄なあずにゃんがムスタングを愛用しているのは、小さくて軽いから気に入ってるだけではないのかもしれません。
ちなみにあずにゃんのムスタングは「むったん」です。
じゃじゃ馬Way To Go 視聴できます。
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こういう風に作中で使用している楽器にまで細かいこだわりを見せて作られているので、そういったリアルさが作品に深みを与えているのかなと思います。
“おかあさん、なんで笑ってるの?”小ネタ満載
物語の流れは軽音部の活動を通して、5人のにぎやかでありながらほのぼのとした日常。
その中に時折差し込まれるロックネタがツボだったりします。
新しいギタリストが入部したと勘違いして、期待しているりっちゃんに「好きなギタリストは?」
と質問されて、「実は、辞退したいです」と言いたい唯ちゃん。
「じ・・・じ・・・じ・・・」
とどもっていると、それを聞いた澪ちゃんが
「じ・・・?ジミー・ヘンドリックス?ジミー・ペイジ?ジェフ・ベック?!!!」
とうれしそうに叫ぶシーンも。
あずにゃんが入部した時も、何か弾いてと言われてジミー・ペイジばりのフレーズをアドリブで弾いたら、ペイジ&プラントを匂わせるような絵がドーンと出てきたり。
唯ちゃんとどっちがリードギターをするかという時に弾いたグランジ風の曲では、カート・コパーンっぽい映像も。
一人で「アハハ!」と笑ってたら
「なんで笑うの?」
と娘に聞かれたりします。
だからと言ってロック知らなくても全然大丈夫です。
顧問のさわちゃん先生こと山中 さわ子先生は軽音部のOBですが、在学中は「DEATH DEVIL」というヘビィメタルバンドで「キャサリン」の愛称で活躍していたのは、禁断の黒歴史です。
軽音部のメンバーに乗せられて、速弾き、タッピング(弦を指でタップして音を出すテクニック、かなり高度なテクニック、ライトハンド奏法と呼ばれていた時期もありました)歯ギター(歯で弦を弾きます)を披露します。(ジミヘンか!!)
さわちゃん先生は、ギターを持つと人格が変わるようです。
ロック知っていても知らなくても笑えるシーンがたくさんあります。
一瞬で終わる小ネタがあちこちにちりばめられているのもツボです。
5人の個性が織りなすグルーヴ感
個性いっぱいのメンバーのやり取りがおもしろい
天然、ドジっ子唯ちゃん
目的地にたどり着くのに人にぶつかったり犬をなでたりで人一倍時間がかかってしまいます。
楽器店でギターを見ている唯ちゃんが、ダブルネックのギターを見て、手が四本のお化けを想像したり、大好きなあずにゃんのことを考えていて、ノートの隅っこにツインテールのネコが書かれていたりするのも唯ちゃんの独特の世界感かなと感じます。
ダブルネックギター
唯ちゃんの落書き あずにゃんネコ
人見知りで恥ずかしがり屋の澪ちゃん
ギターではなくてベースを選んだ理由は、ギターやボーカルはバンドの前面に立つから恥ずかしいという理由からです。
そんな澪ちゃんの刻む正確なリズムがバンドを支えているし、真面目で練習熱心なところが軽音部を陰ながら引っ張っているのだと感じます。
クールビューティな澪ちゃんですが、ふわふわした乙女な詩を作ることも。
唯ちゃんが喉を傷めて歌えなくなった時「あんな恥ずかしい曲唄えない!!」
と墓穴を掘るシーンも。
実は、澪ちゃんが歌っているエンディングソング「Don’tsay”lazy」はオープニングソングよりカッコよかったりします。
商品の説明のすぐ上に視聴欄があります。
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元気っ子のりっちゃん
指でちまちまするような細かい楽器が苦手だからという理由でドラムを選びました。
「ザ・フー」のキース・ムーンをリスペクトするだけあって、パワフルなドラミングで音が走りがちなのも、せっかちなりっちゃんならではだと思います。
唯ちゃんとの絡みがおもしろかったりします。
おっとりとしてぽわぽわなムギちゃん
金銭感覚が庶民と少しズレていますが、唯ちゃんがレスポールを5万円で買えたのもムギちゃんのおかげです。
半月型の太い眉毛は、実はタクアンでできているのだという本人の謎の自白があったりします。
そのタクアンを唯ちゃんとりっちゃんが食べっちゃたりもしました。(おいしかったようです)
一人だけ1年下の妹的存在のあずにゃん
みんなから可愛がられるいじられキャラです。
高い音楽性を期待して軽音部に入ったのに、ティータイムばかりで練習をあまりしないことに反発していたのですが・・・
唯ちゃんから抱きしめられてぽわぽわっと怒りがおさまり、ケーキをあーんさせられて結局ティータイムの続行が決まってしまいます。
5人にしか出せない音がある
軽音部に入ったものの、ティータイムばかりであまり練習をしないメンバーに対して不満を持つあずにゃん。
自分はこの軽音部で活動すべきか悩んで、他の実力のあるバンドの演奏を聴きに行ったりしますが、新入生歓迎会で聴いた軽音部の4人の演奏を聴いたときのドキドキが忘れられません。
『どうして4人そろって演奏するとこんなにいい曲になるんだろう…』
軽音部で一番実力のある澪にどうして他のバンドとやらないのか聞いてみました。
澪の答えは
「やっぱり私はこのメンバーとバンドするのが楽しいんだと思う。きっとみんなもそうで、だからいい演奏になるんだと思う」
よく、それほど演奏は上手くないのに、心にグーンと響く曲を作るバンドがいます。
つたない演奏で、音楽的な知識もあまりないのに、演奏のプロ集団がどんなに頑張っても絶対に作れないような、1回聞いたらいつまでも耳から離れずに忘れられないような曲に出合います。
曲に対するセンスもあるのでしょうが、その時、そのタイミングで、そのメンバーから生まれてくる奇跡のようなものが発生しているのかもしれません。
実際に、とてもいい味を出しているバンドでも、メンバーが一人抜けて、そこに前のメンバーより実力のある人が入ったとしても、前のメンバーの時のような音が出せなかったりします。
放課後ティータイム(軽音部のバンド名)も唯、澪、律、紬の四人が揃って楽しむことで、人を引き付けるだけの音楽が発生しているのだと思います。
そこに梓というスパイスが加わって、さらに相乗効果をだしているように感じます。
練習していなくても部室での楽しいティータイムが心に響く音楽を作り出す源になっているのかもしれないです。
そういうと昔、まだ10代の頃はこういう風に友達とバンド組みたかったのを思い出すのでした。
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