捕れたてのピチピチしたきびなごを買ってきました。
きびなごは1パック300円前後で、ほぼ一年中スーパーに並んである地元では定番の食材です。
昔から親しまれている魚でもあり、手軽に手に入るので生で食べたり、煮たり焼いたりしていろんな料理法で食べられています。
我が家でも食卓によく並べられるきびなご料理を紹介していきます。
きびなごってどんな魚?
きびなごは長さが10cmほどの細長い小魚です。
港の堤防からきびなごが泳いでいる群れを見かけることがありますが、太陽の光にキラキラと反射して光る透明の体が、群れをなして泳ぐ姿はとてもきれいです。
体の真ん中をまっすぐ横に銀色と青色の帯が伸びているので、それも光を反射して光っているのだと思います。
ポリネシアやオーストラリア北岸、西はアフリカの東側まで、インド洋、西太平洋の温帯から熱帯の海に広く分布しており、国内では、関東や山陰地方から南の方で姿が見られ、特に鹿児島県、長崎県、高知県などではまとまって収穫されています。
きびなごを漢字で書くと「黍魚子」や「吉備奈仔」と表記されますが、どれも当て字のようで、漁獲量の多い鹿児島では「帯」のことを「キビ」と言いうことから、きびなごの体の真ん中を通っている青色と銀色の筋を帯とみて「帯(きび)の小魚(なご)」と呼ばれているのではないかと言われています。
お刺身にして食べる
きびなごはきれいな水の中でないと生きられないと言われていて、水から出したらすぐに死んでしまいます。
そのため非常に傷みやすい魚で、生で食べるとなると水揚げされる地域でしか食べるとこができません。
きびなごのお刺身は、全国どこででも食べられるわけではないのですが、私の地元では毎日のようにスーパーにたくさん並べられている定番の食材なので、せっかくなのでお刺身にしていきたいと思います。
きびなごはとても小さいので手でさばくのが一般的な方法です。
まず、頭を指でちぎって内臓を取り出してから、首のところから指で腹を裂いていって開いていきます。
中に残っている骨を指でつまんで引きはがし、さっと水で洗い流します。
水道の蛇口を細く絞って、水をちょろちょろと流しながら一匹一匹とさばいていきます・・・
なかなか手間がかかってめんどくさい作業です。
きびなごのお刺身の日は、必ず母親に呼ばれて人海戦術でさばいていくのはどこの家庭でも見られる光景です。
そのため、地元の女の子は「きびなごだけはさばけるよ」という人も多いです。
さばいたらお皿に盛り付けていきます。
さばいたきびなごをくるんと半分に折って、ちまちまと一匹ずつきれいに並べると、銀色の模様が引き立ってきれいな見た目になります。
もう少し量が多ければぐるりと円を書くように菊の花のように並べていく「菊花盛り」ができます。
なかなか手間のかかる作業ですが、つるんと口の中に入っていく身はピチピチでプリプリで、脂分が少なくてあっさりとしていていくらでも食べられるので、少々面倒でも食べるのが楽しみなのでお刺身にして食べます。
よく甘めの酢味噌で食べられていますが、辛党なので生姜醤油で食べることが多いです。
地元出身の相撲の親方が、テレビのローカル番組で食べ歩きをしていて、魚屋さんに並ぶきびなごを一匹取ってさっと水で洗って、頭をちぎってちょいっとしょうゆをつけて「これが一番おいしい食べ方だよ」と言ってそのまま口の中へ・・・
「そんな食べ方があったんだー!!」
とビックリでした。
さっそくやってみましたが、たしかにさばいて並べてから食べるよりも、身の引き締まり方が断然違って、プリプリの極みでした。
でも、口の中に骨が残って子供たちには不評だったので、みんなで食べるときはやっぱりきれいにさばいてから食べています。
意外とおいしい 塩煮
さばくのが面倒、さばいている時間がない!!
となったら「塩煮」にします。
とても簡単です。
きれいに洗ったきびなごを、濃いめの塩水を沸騰させた中に酒少々を入れてさっと湯がきます。
しっぽの方の身がはがれてきたら上げ時になります。
盛り付けがあまり美しくないのもあって、おいしそうには見えませんが(笑)これがどうして、なかなかおいしいのです。
食べるときは、ゆでるときにはがれた身を指でつまんで、すっと引っ張って骨から身をはがしながら食べます。
とてもあっさりとしていますが、きびなごの味が凝縮されていて、捕れたてなので生臭さも感じられなくて、きびなご本来の味だけを楽しめる食べ方かなあと思います。
きびなごを塩煮にするのは、島の方でよく食べられる食べ方です。
沖縄では魚を泡盛と塩で煮る「マース煮」がよく食べられていますので、熱い地域ならでわの魚をさっぱりと料理する方法なのかなと思われます。
魚の塩煮は少し生臭さが気になるので、若い人は好まない場合がありますが、きびなごだと全然臭いが気にならなくて食べやすいです。
子供に、手間暇かけてきれいにさばいて、きれいに並べたお刺身より「こっちの方が好き!」と言われたときは複雑な気持ちになるのですが・・・
食べながら身をはがすのはちょっと面倒ですが、子供たちが小さい頃はすうーっと身がはがれていくのがおもしろいようで、楽しそうに次々にはがしていっては口の中に放り込んでいました。
頭からガリガリ 南蛮漬け
これから暑くなっていくにつれて、産卵の時期を迎えるため、きびなごのお腹は大きくなった白子やぎっしりと詰まった卵で大きく膨らんでいきます。
きびなごを油で揚げて食べると、白子や卵も一緒に食べられてよりおいしく食べることができます。
と言うことなので、南蛮漬けにしていきます。
先に、にんじん、玉ねぎ、ピーマンなどの野菜を千切りにしておきます。
次に、南蛮酢を作っておきます。
南蛮酢分量
出汁 200ml
酢 150ml
しょうゆ 大さじ2
みりん 大さじ2
砂糖 大さじ4
塩 小さじ2/3
これらの材料を小鍋に入れてひと煮立ちさせて冷ましておきます。
きれいに洗ってからキッチンペーパーで水気をとったきびなごは、さばかずにそのまま塩をぱっぱと振って10分ほど置いてから、片栗粉をつけて170度で揚げて、熱いうちに南蛮酢に浸けます。
切っておいた野菜も一緒に浸けておきます。
30分ほど浸けて置いたら野菜がしんなりしてきました。
さらにあと30分浸けておこうと思います。
味をしっかり馴染ませたい場合は、ラップをして冷蔵庫で数時間浸けておきます。
盛り付けて出来上がりです。
きびなごは骨が柔らかいので、南蛮漬けにすると頭をつけたまま骨ごとガリガリ食べられるので、カルシウムを取ることができます。
内臓も一緒に食べるのでビタミンDが摂取できて、カルシウムをより効率よく取れます。
きびなごはDHAやEPAも多く含んでいるので、血液をサラサラにしたり、脳の活性化に繋がったり、抗アレルギー効果も期待できます。
さらにお酢を使うことで、疲労回復や食欲増進、高血圧の予防、ガンの抑制、美肌効果も期待できる優れた逸品になります。
子供が大好き!フライにする
子供たちが小さい時によく作っていた「きびなごのチーズフライ」です。
パン粉に粉チーズを混ぜただけですが、子供が大好きな味付けなのにお魚を骨ごとまるまる食べられます。
パン粉にカレーパウダーを混ぜて、カレー味にしたりもできます。