「広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)」と「軽度知的障害」の娘が5年間訓練を受けた就労継続支援B型事業所を辞めて、グループホームを出て自宅に帰ってきました。
障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)で今後どうしていくのか相談をした結果、地域障害者職業センターで就業のための職業準備支援や講習などの訓練をうけることになりました。
どうしたら就職できるのか?障害者就業・生活支援センターに行ってみる
障害者就業・生活支援センターは、2019年6月時点では、全国に334センターが設置されています。
私が住んでいる都道府県には4か所に設置されています。
障害者の就業に関する支援や、生活していくための支援を行う機関です。
就業に関する相談支援については、就職に向けて職業準備支援や、職場実習の斡旋準備支援を行い、就職活動へ向けての手助けをします。
他にも職場に定着するための支援や、障害者のそれぞれの障害の特性を踏まえて、事業所に対しての助言をしてくれたり、関係機関との連絡調整などもします。
生活に関する支援内容は、日常生活や地域生活に対して助言をしてくれたり、生活習慣を整えるための助言や、金銭や健康管理への助言をします。
他にも住居や年金、余暇活動や生活設計に対して助言なども行います。
関係機関との連絡調整を行い、様々な支援機関との連携もしています。
障害者が仕事をはじめるときや、生活する上で困った場合などに相談できる場所になります。
ちなみに通称の「なかぽつ」は「障害者就業」と「生活支援センター」の間に「・(ぽつ)」が入っているのでなかぽつと呼ばれているのだそうです。
娘に教えてもらったときには思わず「それ本当?!」と言って笑ってしまいました。
娘は、就労継続支援B型で5年間訓練を受けてきましたが、これから就職するとなっても、どこでなにをしたらいいのか全くわかりません。
就労継続支援B型の紹介で、娘と一緒になかぽつを訪ねました。
B型の方からなかぽつへ娘に関するデータも届いており、相談員の方から障害者職業センターで職業訓練を行うようにとのアドバイスを受けました。
障害者職業センターについての説明を受け、通所する道筋などの確認をしてからいよいよ障害者職業センターに通うことになりました。
障害者就業・生活支援センターから地域障害者職業センターを紹介される
障害者職業センターは正式には地域障害者職業センターと言って、障害のある人に専門的に職業リハビリテーションを行うところで、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営しており、全国に設置されています。
サービスの内容は次の通りになります、(私が住んでいる地域の地域障害者職業センターの例になります)
職業相談・職業評価
どんな仕事につきたいかの希望を元にして、どんな職業に向いているのかなどの適性の評価をして、指導や相談を行います。
就職した時に職場に適応するためにどんな支援が必要か、どんな訓練が必要なのか個人に合わせて「職業リハビリテーション計画」が作られます。
職業準備支援
ひとりひとりの特性に合わせてカリキュラムが作成されます。
いろいろな作業をすることで、仕事をする習慣を身につけて自分に合った働き方を見つけられます。
自分の持つ障害の特性を知り、得意な事や苦手なことを理解して、公共職業安定所(ハローワーク)での求職活動を積極的に行なったり、必要な時は職場見学や職場体験実習を行ったりします。
ビジネスマナーや履歴書の書き方、面接の受け方やジョブコーチ支援の活用についての講習を行います。
精神障害のある方を対象とした自立支援カリキュラムや、発達障害のある方を対象とした就労支援カリキュラムなどもあります。
職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援
働くことや職場に適応することに課題がある知的障害者、精神障害者などが安定して働けるように事業所にジョブコーチを派遣して、障害者や事業主に対して働く前、仕事に就くとき、仕事に就いた後に障害の特性に合わせた専門的なアドバイスを行います。
リワーク支援
うつ病などの精神疾患により休職している人や、その人の復職を考えている事業主に対して主治医などと連携しながら、スムーズに職場復帰することを目指すリワーク支援を行っています。
地域障害者職業センターでの職業訓練
地域の障害者職業センターでの職業訓練が始まりました。
職業訓練の内容は
- ピッキング
- 重さ計測
- 数値チェック
- パソコン入力
- アメニティ組み立て、分解
- トップスイッチ組み立て作業
という内容で、講習と組み合わせて行います。
ピッキングとは
「ピッキング」は、注文書にしたがって品物を揃える作業です。
この課題では、注文書に書かれた品物や番号を手がかりとして、該当する品物を揃える作業を行います。
実際の職場では、例えば流通サービスの職種において、倉庫等に保管されている商品棚から注文どおりに商品を揃えたり、職場内の文房具等の補充のために、保管場所から必要な文房具等を揃えたりします。
また、文房具だけでなく、機械の部品や薬品などを、所定の棚から補充したり揃えたりする作業も考えられます。
重さ計測とは
「重さ計測」は、レベル1~2と3~5の2種類に分けられます。
レベル1~2の課題は、製品の重さを指示に沿って計測する作業です。
これは、食品製造 (一般的な調理、パン、菓子製造等) や薬品の取り扱い等の業種で必要となる基本的な作業です。
レベル3~5の課題は、3種の異なる重さの製品を指示に沿って計測し、適切な範囲に入る組み合わせをつくる作業です。
これは、食品販売 (精肉、青果等) や雑貨販売等の業種に見られる作業です。
数値チェックとは
「数値チェック」は、請求書と納品書を見比べて、請求書のミスを修正する作業です。
この作業では、2枚の書類の数字を注意深く確認し、正確に修正することが求められます。
経理など事務の職種では、伝票から帳簿に転記した数値が正しいかどうかをチェックする、コンピューターで出力した帳票と入力データをチェックするなどの作業があります。
パソコン入力(数値入力)
パソコンの画面上に表示された一連の数字を、右隣の数値入力欄の中に上から順番に入力していく作業です。
この作業では、個々の数字を正確に見極め、的確に入力することが求められます。 職場では事務の職種において、商品番号や入荷個数、収支決算等の数値データを入力する作業があります。
作業の設定として、「テストモード」 「トレーニングモード」 「セルフチェックモード」 があります。
アメニティ組み立て・分解
ホテルなどで使うアメニティセットを作成したり、中身を取り出したりします。
作業台の上にそれぞれ箱の中にに並べられているアメニティ道具(おしぼり、歯ブラシ、三つの大きさのボトル)を集めて、おしぼりはたたんで、それぞれ決まった向きや配置で、ジップ付きの袋に入れていきます。
分解作業は、ジップ袋に入ったアメニティ道具を決められた箱の中に戻していきます。
トップスイッチ組み立て作業
トップスイッチの部品(台、スイッチ、切り替え、押さえ金、ネジ)を決められた通りにドライバーセットを使って組み立てていきます。
作業を行った感想
単純作業が繰り返される割には、いろいろな作業を交互に行うのでそれほど飽きることがなかったようです。
ストップウォッチで作業にかかる時間を計測しながら行うので、慣れてくるにつれて作業にかかる時間が短くなっていくのが分かって、訓練を取り組む意欲も上がっていったようでした。
ただ、同じ作業を繰り返し行っているときは眠気との戦いで、集中力を保つのが大変だったと言うことでした。
それぞれの地域の障害者職業センターによって多少内容が異なるかとも思いますが、娘が受けた訓練はこういった内容でした。
地域障害者職業センターで講習を受ける
職業訓練と並行して、講習を受けることになります。
講習の内容は
- 特性理解
- 履歴書の書き方
- 面接の受け方
- ビジネスマナー
- コミュニケーション
- メモの取り方
- ストレス講習
- ジョブコーチ支援について
- ナビゲーションシートの作成と活用
- 発達障害
- 働くとは
こういった盛りだくさんの内容になっています。
講習を受けた感想は
「話の内容は分かったのだが、ただ座って話を聞いてるだけなので、実際にどういった場合に役に立つのかピンとこなかった」
と言うことです。
娘は、耳からの情報が理解しにくいといった特性があります。
もちろん、資料を見ながらの講習となっていますが、文章を理解することも苦手だったりするので、実践しながらだったりすると分かりやすかったのかなと思ったりします。
実際に私自身が講習を受けたわけではありませんので、講習の内容についての評価はできませんし、講習の内容を理解する力は、それぞれが持っている障害によって変わってくるかと思われます。
いろいろなタイプの障害者の人が理解しやすいように工夫をされていると思いますが、講習の内容を娘に質問したところ、あまり内容を把握できていない様子ではありました。
地域障害者職業センターを利用した感想
地域障害者職業センターの利用期間は、1週間~12週間になります。
娘は12週間通いましたが、この12週間という期間が短いのか長いのかと言うと、娘の場合は短かったようです。
訓練の内容も充実してますし、毎日振り返りシートを記入して一日の作業の感想や体調、職員に伝えたいことなど細かく記入して、それを元にやり取りを行って、フォロー体制も整っているようでした。
しかし、娘の場合は環境の変化に対応するのに時間がかかりますし、慣れない場所だと力を発揮できない場合があります。
それで、やっと訓練の内容や職員に慣れた頃に期限の12週間が来てしまいました。
今回、環境の変化は家庭環境にもあったので、ダブルの変化に対応しきれなかったようでした。
時々は帰って来ていたとはいえ、5年も離れていた自宅に帰ってきて、すぐに行き慣れない場所に電車やバスを乗り継いで通うことも大変だったと思います。
5年も経つと家族のあり方も変わってきていて、まだ学生だった妹がすっかり成長して、友達や彼氏が頻繁に自宅を訪れることに対してストレスを感じているようでした。
それに加えて、突然の私の体調不良などもあって、家事も負担せざる得なくなり、一気にたくさんのストレスを抱えてしまい、頻繁に体調を崩して訓練を休む日が多くなりました。
そういった事情で、職業準備支援に当たる訓練や講習は受けたものの、就職までは結び付きませんでした。
同じ時期に訓練を受けた人は、毎日訓練に来れた人は指導を受けながら履歴書を書いたり、ジョブコーチ支援を受けていたようですので、就職へと繋がっていったのではないかと思われます。
訓練が終了して就職に結びつかなかったのでこの後はどうするのか?
障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)の担当の相談員の方と、いつもサービス等利用計画案を作ってくださる相談支援専門員さんと面談して今後について検討していくことになりました。