小学4年生の時に次女が学校に行けなくなり、自宅で1年半の不登校生活を送りました。
家庭不和が原因で、別居するために実家に引っ越ししたことをきっかけに、次女が自分から転校して学校に行きたいと言いました。
行きたい学校が校区外の学校だったために、はじめは教育委員会に反対されましたが、次女の「行きたい」気持ちが認められて転校できました。
転校した学校では友達にも恵まれて、休まずに登校できるようになりました。
不登校から再び学校へと戻るために親が出来ることは、安心して生活できる環境を整えて、子供を信じて待つことでした。
ある日、学校に行くのをやめる
次女は小学4年生の時に、クラスでの仲間外れや、長く続く小さな嫌がらせが原因で学校に行けなくなりました。
ちょうどその頃、発達障害の姉も不登校をしており、父親も仕事に行けなくなっていたので、家庭の中が不安定だったのも不登校になった原因だと考えられます。
仲間外れや嫌がらせの他にも、次女自身が内弁慶ではっきりと自分の意見が言えなかったり、他の人の言動や気持ちに敏感なために、自分を後回しにしてしまうことで、学校が楽しい場所ではなくなっていたようでした。
学校生活の中では、活躍の場を失ったことで自信をなくしてしまい、自己肯定感が低くなって自分で自分を認められなくなっていました。
こういった複数のことが積み重なって、とうとう学校に行けなくなってしまったのです。
保健室登校をしたり、校外でカウンセリングを受けたりしましたが、結局効果が出ずに、ずっと自宅で引きこもっていました。
4年生の秋に学校に行けなくなって、そのままま学年が上がり、担任の先生も変わりました。
同級生が4人だけの複式学級だったので、学年が変わっても同級生の顔ぶれは変わらないので、特になんの変化のない学校に足が向くことはありませんでした。
そうして、学校に行けないまま5年生になっていました。
別居により家を出ることになる
仕事に行けなくなったおとうさんと、中学校に行けなくなった長女は、それぞれの解決方法が見つかったので、再び仕事や中学校に戻っていきました。
しかし、特になんの解決策が見つからない次女は、相変わらず学校に行かずに自宅で過ごしていました。
自宅で毎日、テレビを見たり、音楽を聴いたり、ゲームをしたり、犬や猫と遊んだりと毎日気ままに過ごしていました。
このまま好きな事だけしていていいんだろうか?勉強の遅れは取り戻せるんだろうか?そもそもこのままで再び登校できる日が来るのだろうか?
何度も疑問に思ったし、心配になりましたが、本人が学校に行く気持ちにならないことにはどうにもならないのです。
登校を無理強いしても、結局自分の殻に閉じこもってしまうような気がして、積極的に登校を促すことは控えました。
本人が落ち着いている時に
「学校どうしたい?まだ行けない?」
と聞いてみても
「だって、なんにも変わってないでしょ、行ったところで同じでしょ、それに今さら行きにくいし・・・」
と返って来るだけでした。
そうやって、学校に行けなくなってから1年が過ぎた頃、仕事に復帰したもののストレスを抱えたまま毎日出勤していたおとうさんの、家族への八つ当たりがだんだんひどくなってきました。
そして、これ以上我慢するのは無理だと判断して、子供と三人で別居して実家で暮らすことになりました。
学校に行きたい、転校したい
実家で生活を始めて1ケ月が過ぎた頃でした。
機嫌の悪いおとうさんにおびえずに過ごせるようになって落ち着いたからか、環境が変わって気持ちが変わったからか、次女が突然
「転校して学校に行きたい」
と言い出しました。
実家から一番近い小学校は、今まで通っていた学校と同じくらいの規模で、少人数での複式学級の小学校でした。
そこには行かずに隣の校区の大きな学校に行きたいと言うのです。
娘なりに、小さな学校で人間関係が築けないと、また孤立して独りぼっちになってしまう、強い人がいたらクラス全員がそこになびいて、また我慢するしかなくなってしまうと考えたのでした。
それに、娘の行きたがっている小学校には、幼稚園の時に仲の良かったお友達が数名いるので、それもあって行きやすいのではと考えたようでした。
「大きな学校だと友達ができると思うの?」
と聞いたら
「できるか分からないけど行ってみたい、小さな学校はもう二度とイヤ」
と言うことなので、教育委員会に校区外の学校に転校する相談をすることにしました。
転校しても登校できるとは限らない、校区外に行く必要があるのか?
教育委員会に校区外転校の意思を告げると、確認をしたいとことがある言われ、教育委員会に呼ばれました。
案内された会議室には、教育長をはじめとする教育委員会の方々や、地元の相談員、今まで通っていた小学校の校長先生や、転校を希望する小学校の校長先生など、数名にずらっと囲まれての面談で、正直足がすくみました。
そこで言われたのが
- 転校したら学校に行けるようになるとは限らない、転校してもまた不登校になる例は多いので簡単に転校を考えるべきではない。
- なぜ転校する必要があるのか?まずは今まで通っていた学校に再び行けるように考えてみたらどうか。
ということでした。
それに対しての答えは
- 学年が変わってもクラスの顔ぶれが変わらないので、登校してもまた仲間外れにされるのではないか?という恐怖で学校に行くことができない。
- 学校に行けなくなってから1年半経っても登校できないので、学校が変わらない限り登校することはできないと思う。
- 転校して学校に行けるようになる例もあるのに、なぜ転校しても再び不登校になると決めつけるのか?
- 1年半学校に行こうとしなかったのに、子供が自分から転校したいと言いだしたのは、子供自身が学校に行きたいと強く願っているからなので、再び登校できると信じてあげたい。
です。
そして次に言われたのが
ということです。
それに対しては
- 小さい学校で友達との関係が崩れると、6年間クラスが変わらないので、ずっと我慢をしなければならないことに不安を感じていて、小さい学校で再びいじめられて逃げ場をなくすことを恐れている。
- 子供が自分から転校したいと言いだしたのには、かなりの決心があってのことなので、少しでも登校できる望みのある学校に、わだかまりのない状態で行かせてあげたい。
- 実家に近い学校にしか転校できないとなったら、せっかくの決心が鈍ってしまい、再び登校する気持ちがなくなってしまう恐れがある。
と答えました。
もしかしたらですが、それまで通っていた学校がいじめがあったことを認めていなかったので、校区外への転校をなかなか認めてもらえなかったのかもしれません。
しかし、結局は校区外への転校を認めてもらえて、1年半ぶりに登校することができたのでした。
不登校から転校して登校するのに必要な事
転校初日、玄関から校舎に入ったらちょうど休み時間で「転校生だ!!」と子供たちが集ってきました。
その中から、幼稚園の頃にお友達だった子が駆け寄ってきて、転校してきたことに驚きながらも、手を引っ張って校長室へと連れて行ってくれました。
転校1日目には、帰宅するまでにすでに何人かの友達ができていました。
それから1週間経ったら、部活に入りたいと言ってきて部活動をすることになり、毎日学校に行くのがとても楽しそうでした。
あっという間にたくさんの友達に囲まれるようになり、1年半もの間不登校をしていたことが嘘のようでした。
転校することで登校できるようになったので、不登校になった1番の原因は、いじめられていたことと環境が合わなかったことだと考えられます。
不登校をして家に引きこもっている間、ずっと本人なりに学校に行きたいけど、どうしたら行けるのだろう?と考えていたのではないかと思われます。
そして別居して環境が変わったことで、転校できると考えたのでしょう。
不登校の状態から転校するとなると、全く馴染みのない新しい環境に入っての登校になるので、強い意思が必要になってきます。
娘が転校することで再び登校ができたのは、自分から転校したいと望んで、自分で行きたい学校を決めて、自分の意思で前向きに考えたからだと思われます。
学校に行くのは子供自身なので、結局親が出来ることといえば、環境を整えてあげて、自分の力で立ち上がるまで見守ることしかないのかなと感じました。
なぜ学校に行く必要があるのか?
娘が学校に行かない1年半の間、本当にこのまま放っておいていいのだろうか?このままだと、ずっと学校には行かないのではないだろうか?そうすると将来はいったいどうなるのだろうか?
何度も何度も不安に襲われました。
でも、私が不安を感じる以上に、娘自身はもっと不安であったのだろうし、学校には行かなければいけないことは、娘自身が一番分かっていたのだと思うのです。
学校って社会の縮図みたいなものだと思うのです。
いろんなタイプの人がいて、いろんな考えの人がいて、それぞれに違った想いや意見があって、社会に出る前にいろんな人と関わることで、自分と違う考え方や意見を持つ人がいることを知ることができます。
他の人に接することで、他の人のたくさんの意見を理解したり、反発したりすることで、世の中のことを公平に見れる視点を養うことができてきます。
いろんな人と出会うことで、広い世界があるのを知って、興味の幅も広がってきます。
一人で、家の中だけで自分のことが分かっているつもりでも、外に出てはじめて自分のことがよりわかる場合があったりします。
他人の視点を借りて、自分を見つめることも大切なのかなと感じます。
実は、私自身は子供の頃に、学校が楽しいと感じたことが少なかったのです。
それでも、同じ年に同じ地域で生まれ育った人たちと行動を共にする機会は、子供の頃にしかできない貴重な体験になります。
友達と笑って過ごした体験はもちろんのこと、ぶつかったり批判されたりした体験も貴重な経験になっていて、楽しくなかった記憶さえも大切な想い出になっています。
だから、自分の子供たちにもそういった経験をして欲しいと願っていたので、学校には復帰して欲しいと思っていました。
でも、どうしても辛くて学校にいけない場合もあるかと思うので、学校以外でコミュニティが築けるようなところを利用してもいいですし、直接会いたくない時はネットをつかってのコミュニティでもいいのかなと思います。
まとめ
子供が不登校になった時に、学校に行きたい気持ちがあっても、どうしても行けない場合は、思い切って転校してみてもいいのかなと思います。
いじめを大人が力で押さえつけても、いじめる側の根本的な問題が解決していないと、いじめは繰り返されるような気がするのです。
また、環境が合わなくて学校に行けない場合もあるので、環境が変わると登校できることもあります。
大切なのは、子供が学校に行きたい気持ちを信じてあげることだと思うのです。
親が子供を信じることで、子供自身が自分を信じることができて、自信をもって行動できるのではないかと感じています。